はじめに:第2波相場の「再評価ゾーン」に備える
2025年前半、日本株は円安とAIブームの恩恵を受け、一時的なテーマ過熱も見られました。しかし、5月以降は政策相場の“休憩期”に入り、多くの投資家が一旦利益確定を行っています。
一方で、高市銘柄(経済安全保障・AI・半導体・通信・防衛関連)には、再び注目が戻る“第2波”のタイミングが近づいています。
第1波で買われすぎた銘柄が整理され、業績裏付けと政策の実需化が進むこれからが本番。
この記事では、2025年後半に「再評価されやすい高市銘柄ベスト10」を実践投資家の視点で分析します。
注目基準は以下の3つ:
- 政策テーマとの連動性(防衛・AI・通信・半導体)
- 業績の持続性(受注残・CF・利益率)
- 株価位置(調整後のリスクリワード)
1. 防衛関連株:第2フェーズ突入で再評価へ

三菱重工業(7011)|防衛+脱炭素の“二刀流”
防衛の中心銘柄。巡航ミサイル、艦艇、防衛装備などに加え、水素タービンやカーボンリサイクルでも国策支援を受けています。2025年度防衛予算(約8.7兆円)の恩恵が本格化するのは25年下期以降。
業績は23年度比で営業益15%増見通し。配当利回り2.2%程度と安定。
IHI(7013)|航空エンジンと無人機領域に追い風
航空エンジン事業が回復基調。自衛隊向け無人航空機開発でも技術連携を強化中。AI制御・センサー関連の新規プロジェクトも複数稼働。
受注残高は過去最高圏。中長期では無人機・宇宙関連でも高市政策との親和性が高い。
川崎重工業(7012)|潜水艦とAI制御ロボで新展開
防衛・宇宙・モビリティを3本柱に事業を再構築。潜水艦関連では長期契約で安定収益、AI制御ドローンや自律ロボティクス分野でも拡張。
PBR0.9倍台と依然割安。業績裏付け型の再評価候補として注目。
防衛関連は短期より“政策×設備×長期契約”で判断。年度予算→契約→納入までのタイムラグ(約半年〜1年)を理解し、押し目で仕込む逆張り姿勢が有効です。
2. 半導体関連株:Rapidus関連と装置セクターのリバウンド狙い

レーザーテック(6920)|EUV検査で世界独占
生成AI・Rapidus・TSMCの3需要が揃う。EUV露光装置向け検査機器の世界シェア100%。株価は調整を経て再び上昇基調へ。
2025年はRapidusライン立ち上げが本格化。高市政調会長が支援を明言しており、中期支援枠の恩恵大。
アドバンテスト(6857)|AI半導体テスターの主役
AIチップの需要増加により、テスター需要が世界的に拡大。米エヌビディアの次世代GPU検査装置も供給中。PERは過去平均水準に戻り、再評価の余地。
営業利益率25%超の高収益企業。
SCREENホールディングス(7735)|前工程装置で安定成長
半導体製造装置の「洗浄・塗布」で高シェア。Rapidus・TSMC向け設備投資増が業績押上げに寄与。営業利益率15%台と堅調。
長期投資家に人気の“成長+安定”枠。
半導体はボラが高いが、“設備投資フェーズ”と“稼働フェーズ”の周期を読めば優位に立てます。前工程+検査系+パッケージ関連を組み合わせて分散投資を。
3. 通信・インフラ関連株:Beyond5Gと量子通信で再注目

NTT(9432)|IOWN構想の中核
光電融合(IOWN構想)の実証が進展。AI通信・低遅延・省電力の分野で世界標準化をリード。
安定配当+政策銘柄として長期保有向き。2025年下期はIOWN実装フェーズ突入が期待されます。
KDDI(9433)|衛星通信・地方インフラの成長テーマ
Starlink連携で通信途絶地域をカバー。地方創生+災害対応の国策テーマと重なり、防災×通信=高市政策直結。
5Gから6Gへの橋渡し役としても再評価候補。
NEC(6701)|量子通信・防衛通信で両面勝負
量子暗号通信・指揮通信システム(C4ISR)領域で注目。AI解析+通信統合の官需案件が増加中。
IoT防衛ネットワーク関連で政府案件を複数獲得。再上昇の起点が近い。
通信株は「配当+政策成長」のハイブリッド。ディフェンシブ銘柄をテーマ株のポートフォリオに織り込むことでリスクヘッジにもなります。
4. AI・ソフトウェア関連株:生成AI実装フェーズへ

ソフトバンクグループ(9984)|AIエコシステムの司令塔
Arm上場益をもとに、AI・IoT・自動化スタートアップに再投資。ChatGPT連携や生成AIデータセンター構想も進展。
子会社SBテクノロジーやLINEヤフーとのシナジーが2025年後半に顕在化。
ブレインパッド(3655)|データ×AI導入支援のプロ
AI導入支援コンサルとして企業デジタル化を後押し。生成AI需要によりAI PoC→実装案件が急増中。
営業利益率が改善傾向にあり、政策AI支援企業として再評価余地あり。
サイバーエージェント(4751)|広告×生成AIで業務革新
自社AI開発「極予測AI」に加え、広告生成AIで業務効率化を推進。政府の生成AI推進政策と連動し、官公庁案件も増加。
動画広告市場の回復も追い風。
AI関連は“テーマ人気”から“業績裏付け”の段階へ。ARR(継続収益)やAI導入実績数を指標に選別を。
5. 再評価のカギ:2025年後半〜2026年前半の政策スケジュール

(1)防衛省:中期防衛力整備計画(改定案)
2025年秋に改定予定。電子戦・サイバー防衛の予算増配分が見込まれ、関連銘柄が物色される可能性。
(2)経済産業省:AI促進法・量子通信関連補正
AI関連補助金、通信基盤整備、国産半導体予算の追加分が審議予定。政策マネー第2波が市場テーマに。
(3)NTT・IOWN・Rapidus実証結果の公開
実用化・量産化報告が相次ぐ見込み。**実需フェーズ移行のニュースが“再評価トリガー”**に。
政策テーマ株はイベント前に仕込んで、実証・採択ニュースで一部利確が王道。ニュースを“終点”ではなく、“次の入口”として使いましょう。
まとめ:第2波は「業績+政策」の両輪で動く
第1波(2023〜2024)は“期待先行”。
第2波(2025年後半〜2026年)は業績裏付けと政策実需の合流点です。
再評価銘柄の共通点は以下の3つ:
- 国策テーマとの連動が明確
- 政策支援が複数年度化している
- 業績(受注・CF・配当)に実がある
投資家としては「テーマの鮮度」より「構造の持続性」を重視すべきタイミング。
“防衛・AI・半導体・通信”の4本柱を軸に、配当+成長のポートフォリオを再構築していきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 今から防衛関連株を買うのは遅くないですか?
A1. 遅くありません。2025年後半から2026年にかけて、装備納入とAI防衛分野の契約が本格化します。
三菱重工・IHIなど大型株は中長期で堅調。短期なら、無人機やセンサー関連の中小型を狙うのも一手です。
Q2. 半導体は景気に左右されやすいと聞きますが?
A2. 確かに景気循環はありますが、AI・自動運転・5G/6Gなどの構造的需要が支え。
2025年はRapidusライン立ち上げとEUV装置需要で国内供給網の再評価が進む年。中期ではむしろ上昇局面です。
Q3. 通信株は地味ですが持つ価値はありますか?
A3. あります。Beyond5G・IOWN・量子通信など、新技術の国際標準化が始まり、**「高配当+成長」**を両立できる希少セクターです。
特にNTT・KDDIは長期資産形成に最適なベース銘柄です。
Q4. AI関連株はどこまで上がる余地がありますか?
A4. 現在の株価水準は2023年比で高いですが、AI導入が実用化に進む第2段階に入っています。
PoC(試験導入)→実装→汎用AI連携の流れが進むため、業績化フェーズの企業には上値余地があります。
Q5. どのセクターを中心にポートフォリオを組むべきですか?
A5. 「防衛・半導体・通信・AI」をバランス良く。
配当重視なら通信+防衛、成長重視ならAI+半導体、リスク分散ならその比率を6:2:2で組むと安定。
押し目とイベント前の分割投資が再評価相場での勝ち筋です。
参考ツール・情報URLまとめ(全て公式中心)
- 防衛装備庁:https://www.mod.go.jp/atla/
- 経済産業省 経済安保政策:https://www.meti.go.jp/
- Rapidus株式会社:https://www.rapidus.inc/
- NTT IOWN構想:https://www.rd.ntt/iown/
- NICT Beyond 5G:https://beyond5g.nict.go.jp/
- グローバルX ETF Japan:https://globalxetfs.co.jp/
投資アドバイス(総括)
2025年後半の高市銘柄は、**「期待→実需→再評価」**の第2波フェーズ。
上値余地があるのは、“業績裏付け”と“政策継続”を兼ね備えた銘柄です。
ニュースに踊らず、政策スケジュール×企業IR×チャート位置をトリプルで管理し、冷静に狙い撃ちましょう。


